歳をとるのは悪いこと?エイジズムについての話
きっとこの記事を読んでいる人は、これから20歳になり成人式を迎えるという方ばかりだと思いますが、あなたは20歳になることについてどう思いますか?大人になれることが嬉しかったり、成長することに喜びを感じる人がいる反面、歳をとるということに怯えている人もいるのではないでしょうか。
私自身は数年前に成人式を迎えた、現在も20代前半の女性ですが、自分が成人を迎えた際にひどく驚いたことがあります。それは、周りの友人たち、しかも女性のみが「もうハタチだし、私たちオバサンになっちゃったね。」と言っていたことです。言わずもがなですが、人生80年と言われるこの時代にハタチは決して「オバサン」ではありません。人生の折り返し地点にも程遠い年齢です。
加えて、男性がハタチだからオジサン、と言われているのはあまり見たことがありません。つまりは「ハタチだから年寄り」なのではなく、「ハタチの女だから年寄り」という意識があるということです。
歳をとることで価値が薄れるという考え方
「エイジズム(ageism)」という言葉を聞いたことはありますか。エイジズムとは、年齢による差別のことで、高齢になるほどその人の価値が減っていくという考え方です。
例えば、アメリカでは就職の際の採用選考において、企業側は相手に年齢を聞いてはいけないことになっています。年齢を選考材料とすることが既にエイジズムだからです。よって、未成年者の労働に関する問題があるので最少年齢の制限はありますが、上限を決めることは年齢についての差別としてしてはいけないとされています。日本では履歴書や面接において年齢を明かさなければならないことがあり、実際に年齢を理由として不採用となる人が今でもたくさんいます。
以上のエイジズムは男女ともに関係している話であり、それらを見ていれば人々は「歳をとることは価値が薄れるということ」という意識を内面化します。
「女」が歳をとるということ
その結果として20歳に成るティーンエージャーですら歳をとることを恐れ出したわけですが、では、なぜそれは女性に多く見られるのでしょうか。
それはおそらく、「女は若さが武器であり価値なのだ」という社会からのメッセージを彼らが日々受け取っているからではないかと考えられます。実際に若い女性というのは、若いという事実があるだけでチヤホヤしてもらえたり、下駄を履かせてもられる機会が多いです。しかし、それは自分が若い間のみということも同時に理解しています。だからこそ、歳を重ねて、いつか価値のないものとして扱われる時が来るのを常に恐れているのです。
では、歳をとっても美しい場合はどうなのか、美しければ大丈夫なのではないかというと、そんなことはないということが「美魔女」の例で分かります。美魔女とは、昨今メディアでもよく見かける「魔女のように若々しい美しさを保っている中年女性」のことですが、この美魔女という名前こそが中年女性の美を貶めている表現であると言えます。
そもそも「魔女」というのは「魔法が使える女性」という文字通り以上の意味を含んでいます。ヨーロッパの方では中世に魔女狩りが行われていたように、人間からすれば理解の範疇を超えた恐ろしいもの、人間でないものとして扱われていたわけです。
美しい中年女性も美魔女と呼ばれることによって、美しいけれどもはや魔女、人間の女としての土俵からは降ろされたものとして扱われているように思えます。そして、本来ならば土俵から降ろされている存在だからこそ、「若々しく美しくあろう」という彼女たちの姿勢は「年齢をわきまえずみっともない」として批判されやすいのです。
まとめ
以上、今回は女性からしたエイジズムについてお話ししてきましたが、いかがでしたか。
私の意見としては反エイジズムであり、若い女性が年齢について嘆くのは悲しいことだと思います。人は誰しもが日々一刻一刻と歳をとり、いつかは高齢者になります。そのことを思えば高齢者を差別することの虚しさがわかると思います。
また、女性の皆さんには「若さは価値だ」という呪いから目を覚ましてほしいです。歳をとることを恐れず、何歳であろうと、なりたい自分でいるのが一番です。自分の価値を決めるのは自分ですから。