最近人気の2分の1成人式は何が問題?
みなさんは、自分が10歳だった頃のことを覚えていますか。私は現在20代前半ですが、ほぼ覚えていません。
ここ最近、と言っても場所によってはここ十数年ほど、10歳になった節目を祝う「2分の1成人式」というイベントを行う小学校が増えているそうです。10歳ということは小学4年生に該当する年齢ですね。20歳が成人だから10歳は2分の1、という単純なものですが、このイベントは実は問題だらけなのではないかと指摘されています。
今回は「なぜ2分の1成人式は問題なのか」ということについて話していきたいと思います。
「2分の1成人式」では何をするのか
本物の「成人式」では主に市を規模として式典が行われ、新成人たちは着飾ってそれに参加し、その後は二次会と称して同窓会が行われるのが一般的ですね。ここにほとんど親が介在しないのに対して、「2分の1成人式」ではひたすら親と子どもの絆や愛に重点を置いた企画がとり行われます。「2分の1成人式」を企画するのは主に小学校。熱心な地域では自治体共々力を入れているのだとか。
「2分の1成人式」でよく行われることは、
・ クラスの全員が親からの手紙をもらう、また、それに返事を書く。親がそれをクラスメイトの前で読み上げる場合もある。
・ 自分の名前の由来や生い立ちを振り返らせる
・ 「2分の1成人証書」の授与
・ 子どもたちから親への歌のプレゼント
など、主にこのような「子どもから親へ10年間育ててくれたことへ感謝する」内容のイベントとなっています。
全員が2分の1成人式で感動することは不可能
子どもたちが親に感謝をして自分の生い立ちを振り返るだなんて、聞こえはとっても良いイベントですよね。保護者が参加する形のに分の1成人式では、全員と言っても過言でないほどの保護者の方が涙を流して感動するそうです。確かに、もし自分が親の立場なら、嬉しくて涙が出るのもわかります。実際にベネッセの調べによると「2分の1成人式に満足した」という保護者は9割なのだそうです。
では、子どもたちも同じように満足している子ばかりなのでしょうか。私はそうは思えません。
実際に私自身、2分の1成人式のようなイベントに参加したことがあります。参加したというよりも、中学生の時に行ったスキー合宿でサプライズとして教師と保護者が行ったものでした。そのイベントの内容は、親からの手紙を「生徒全員」が教師づたいで受け取り、それに返事を書くというシンプルなもの。
シンプルですが、「生徒全員」宛に手紙があることに当時の私は大いに驚いたことをよく覚えています。だって、300人以上いた生徒の中には実の両親と死別している子どもや児童養護施設のようなところで生活している子どもだっているわけです。先生たちはそんな子どもたちがこのイベントを通して何を思うか考えなかったのでしょうか。
以上は私の体験談ですが、それ以外でも、自分の過去をクラスメイトたちと一緒に振り返りたくない、知られたくない子どもはたくさんいます。離婚している家庭もあれば、虐待を受けている子どもだっています。10歳になったことを祝いたければ各家庭で行えばいいのであり、学校という様々な家庭事情を含んだ環境で行うべきではありません。
「様々な家庭に配慮して行う」という学校もあるようですが、本当に配慮したいのならばそもそも行わなければいいのではないでしょうか。
まとめ
以上、今回は「2分の1成人式」の問題点についてお話ししました。
最近は2分の1成人式が「感動的なイベント」として話題に上がることもあるため、今回述べたような批判を聞いたのは初めてだという人もいるかもしれません。また、2分の1成人式は保護者の方々から非常に好評なイベントとなっているため、今後も行う小学校は増えるかもしれません。
でも、本当にそれでいいのか。一度、自分で考えてみてくださいね。